中田康彦(なかた・やすひこ) 教授

◆自己紹介

 一橋大学社会学部卒業後、一橋大学大学院社会学研究科で教育政策を専攻。鳥取大学教育学部講師を経て、2000年度に一橋大学へ着任。学部生時代には、学部間の壁が低いという一橋大学の学修環境の中で、教育学や法学を学んできました。
 教員の身分に関する制度やその他各種の教育改革を素材として、教育の自由・教育権の内実の原理的解明にとりくむとともに具体的に保障する制度・しくみづくりに関心を抱いています。
 そのためには教育学・法学のみならず行政学・政治学・経営学など社会科学の諸領域を広く渉猟する必要性があると痛感しています。解釈の学としてだけでも、現実の社会動態の分析の学としてだけでも、代案提起の学としてだけでもない、学問体系の深化・発展ができないものかと願っています。

◆E-mail

中田康彦

◆主な研究領域

教育法制・教育政策・教育行政

◆代表的な図書・論文

  • 浦野東洋一・佐藤広美・中嶋哲彦・中田康彦編『改定教育基本法 どう読み、どう向き合うか』(編著) かもがわ出版、 2007年
  • 浦野東洋一・勝野正章・中田康彦編『開かれた学校づくりと学校評価』(編著) 学事出版、2007年
  • 「教育条件整備法制研究の方法論的課題」(1)(2)『一橋論叢』 第116巻第2号、1996年、第118巻第4号、1999年

◆学部の主要担当科目

「教育政策」「比較教育学」「教育社会学」「教職の意義と教師の役割」「ゼミナール」

◆大学院の主要担当科目

 「教育計画」「教育の研究方法論」「ゼミナール」

◆研究プロジェクト紹介

(1)教員評価・給与・資格制度に関する研究
 “異形の”外国モデルの受容の分析を通じ、教員政策の意図の分析をしようというものです。学校現場での直接的な対話を通じた資質向上というシステムと、成果を待遇に反映させる評価制度を二元化しているアメリカやイギリスに対し、教員の資質向上や学校の活性化を目的として掲げ、成果の待遇への反映と資質向上を一元化したシステムをとろうとする日本の評価制度の制度設計上の限界があるのではないかと考えています。

(2)教育政策の社会過程分析
 教育政策・行政の計画化を考えるものです。教育的価値が「権力に裏づけられた教育理念」としての教育政策へとどのようにせりあげられ、あるいは浮上させられない中で、具体的な施策が形成・実施され、どのような効果・影響を生みだすのかという流れを分析することによって、個々の教育政策とそれらの束が社会環境の中で「実現された教育的価値」とは何かをみようとしています。

(3)開かれた学校づくりの理論と実践に関する研究
 「開かれた学校づくり」という名称は、外部評価に基づく学校づくり政策だけでなく、生徒の自主性を涵養する教育実践に対しても用いられています。双方向性の協議を重視する後者は、追求・把握されてきましたが、これを学校評価のオールタナティブとか生徒自治の単なる延長ととらえるのではなく、「地域に根ざした教育」「教育の住民自治」といった課題や、「父母の教育権論」「父母の学校参加」といった課題と統合的に把握しようと考えています。